その昔、私はジョニーという息子と一緒に生活していた。まだ私が五分刈りでモミアゲをルパン三世なみに伸ばしていた頃だ。
ジョニーは一般的な子供よりも小柄で、そのせいか体力はあまりなかった。性格は良く言えば大人びて落ち着きがあるといえるが少し積極性に欠けるところがあり、人見知りも激しかった。(今ふうに言うと“草食系”に分類されるのではないだろうか)
私とジョニーは親子でありながら仕事上でのコンビを組んでいた。私たち二人の仕事は薄暗い秘密の花園で可憐なお嬢さんをエレガントにエスコートして差し上げること。ロマンチストなジョニーにはぴったりの仕事…のように思われたのだが、これが意外と力仕事だったため、体力のないジョニーはお嬢さんをなかなか最後までエスコートすることができなかった。
何度目かの失敗のあと「私って魅力ないのかな…」とつぶやいたお嬢さんの悲しげな横顔を黙って見ているジョニーの悲しげな姿を私は今でもはっきりと覚えている。きっと男としてのプライドをずたずたに切り裂かれ、ぼろぼろの雑巾のようになってしまっていたのだろう。
「一刻も早くジョニーに男としてのプライドを取り戻させなければ。このままでは彼の心の傷は取り返しのつかなくらい深くなってしまう」
そう考えた私は思い切って彼のために精力増強剤の購入を決心することにした。ただし、その当時は特効薬がまだそれほど広まっておらず、悔しいが私には手を出すことができなかった。そのため私たちが望むほどの効果を得ることはできず、結局、ジョニーはお嬢さんから愛想をつかされて解雇。そのショックで行方不明になってしまった。(風の噂では、どこかで深い穴を掘っているらしい)
ジョニーが行方不明になってから十年と少し経った現在、私の手の中にはいろいろな事情が重なってバイアグラがある。
あの時、この特効薬をジョニーに渡せていたら私たち二人の人生は今とは違うものになっていたのかもしれない。
※この物語はフィクションであり、いかなる実在の人物・団体とも関係がありません。